雨の指の

文章の練習。チェコを中心に、映画、美術、音楽のこと。

2015-01-01から1年間の記事一覧

朝井リョウ『何者』に翻弄される話

何者 (新潮文庫) 作者: 朝井リョウ 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/06/26 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (8件) を見る 朝井リョウの名前を意識したきっかけは、大学でコピー機の順番待ちの間になんとなく手に取った、たしか生協の、フリーペー…

ミハルについて

ミハルはコラージュを作っている。多くのイメージがふり積もり、押し固められ、鉱石になったようなコラージュ。本人の見た目はハンガリー映画『ヴェルクマイスター・ハーモニー』の主人公ヴァルシュカに似ている。ひとつの時代が崩壊するときに、彼がプラハ…

自我の未確立とその影響

ほとんど半年ぶりのブログ更新が長々とした自分語りというのもどうなのかとは思うけれど、自分のことについて、これまであまり考えたことのなかった長期的な問題を自覚し始めているので、ちょっと書きとめておこうと思う。 わたしは元来、非常に他者依存的な…

ペドファイルがまっとうに生きるということ――ドキュメンタリー映画『ダニエルの世界』

チェコ・テレビ制作のドキュメンタリー映画『ダニエルの世界』(原題:Danielův svět、ヴェロニカ・リシュコヴァー監督、2014年)を観に、ヴァーツラフ広場にほど近い映画館キノ・スヴィェトゾルに足を運ぶ。 Danielův svět / Daniel's World - YouTube ダニエ…