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雨の指の

文章の練習。チェコを中心に、映画、美術、音楽のこと。

Jack White Live @ Forum Karlín 13.10.2014

もう3日前のことになるが、プラハ8区のForum Karlínで行われたジャック・ホワイトのライヴに行ってきた。

ザ・ホワイト・ストライプスを聴き始めたのが『エレファント』が出たすこし後だから、ジャックのことはちょうど10年追っていることになる。彼のレーベルから出ている種々の限定レコードを集めてるわけでもないし、最近は音楽雑誌さえ買わない、いたって怠惰なファンなのだが、それでも彼の作品が大好きだ。プリミティヴでありながら恐るべきひろがりを持つ楽曲群、20世紀初頭のテイストを取り入れたクラシカルなアートワーク!


Jack White - Would You Fight For My Love? - YouTube

2012年にフジロックに出演して以来――わたしはこの時もチェコにいた――単独来日公演を待ち望んでいたのだけれど、今回たまたまわたしのプラハ行きが決まった後に欧州ツアーがアナウンスされ、狂喜してチケットを取ってしまった。

「カルリーンのあたりは夜怖いよ、地下鉄の駅に強盗団が出るよ」などと、出がけに同居人におどかされつつおっかなびっくり向かったForum Karlínだが、ハコ自体は最近できたばかりのきれいなホールだ。開演前はチェコ語しか聞こえなかったので、オーディエンスのほとんどは地元の人々だろう。面白かったのは60歳台くらいの人がかなり多く見受けられたこと。スキニージーンズをびちっと穿いて黒い革ジャンを羽織ったパティ・スミスみたいなおばあちゃんがとても格好良かった。プラハの春世代である。チェコスロヴァキア民主化革命「ビロード革命」(そういえば明日が記念日だ、11月17日)の名が実はヴェルヴェット・アンダーグラウンドにちなむという話もあるくらいだから、ロックに特別な思い入れのあるお年寄りが多いのは想像がつく。が、それにしても2000年代のロックまでフォローしつづけているというのは凄い。

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Live Photos | Jack White

Photo: DAVID JAMES SWANSON

ジャック・ホワイトのライヴは美しかった。彼の音楽が美しいのは、降るような轟音と激しい歌声の奥底に、つねに厳格な冷静さを秘めているからだ。あれだけ情熱的なパフォーマンスをしながら、ドラムやギターをこれでもかと打ち鳴らしながら、それでもバンドは「一糸乱れぬ」とでも表現するべき統率を失うことがない。プロフェッショナルの冷徹さだ。思えば、ガレージロック・リヴァイヴァルと呼ばれたザ・ホワイト・ストライプスの魅力はアマチュア的な衝動だった(と思われていた)はずだ。このひとはもう、ずいぶん遠くまでやって来た。「セブン・ネイション・アーミー」の、誰もがすぐに合唱できてしまう、単純で力強いリフとともに、このひとはこんなところまでやって来たのだ。

だからこそ、願わくば。23時まで続いたライヴのラスト、Good night, Prague! と叫ぶ彼に拍手を送りながら、いつか彼がHello, Japanと呼びかけるのを聴きたい! と思わずにはいられなかった。わたしはプラハが大好きだけれど、プラハに根を張る人間ではないから。

  

ところで、今回のライヴではニューヨークのバンド、ルシウスが前座を務めていた。


Lucius - Turn It Around [Official Video] - YouTube


Lucius - Tempest (official stream) - YouTube

2011年に結成された、ちょっとアーケード・ファイアを思わせるところもあるオルタナ・ポップ・バンド。パワフルなパフォーマンスで、こちらもたいへん楽しかった。